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2007年12月04日

Who's What A Girl? 3

前回からの続き)

そのバーは国産ウィスキーの専門店であると同時に、映画バーでもある。その街自体は私が何ブロックにも渡ってバーを探し歩いたおなじみの街であったが、まだまだ開拓しきれないほどに広く、しかも、そこは私が全く手をつけていなかったブロックで、そんな場所にバーがあるなどとは、正直思ってもいなかった場所であった。

大きなスクリーンには、白黒映画が映し出されている。そして棚を埋め尽くす瓶の数々。普通のバーと違うのが、それが殆ど国産のウィスキーであるということ。つまりは、全体的に琥珀色の色彩がバーを支配しているわけだ。

席に通され、メニューを見る。信じられないほどに、国産ウィスキーの数が多い。日本国内でウィスキーを作っている会社が、サントリーとニッカの双璧だけではないことに気付かされる。


メニューを見たのは、あくまで価格帯を確認するため。実際に注文する時には、マスターの見立てて選んでもらうつもりだった。だから、Ardbeg TEN と同じ価格帯で、同じような個性を持ったものはないかと聞いてみた。

これがかなり難しい質問であることは、私も承知の上だ。スコットランドの中でも、Ardbeg を生産しているアイラ島出身のウィスキーは、特に強い個性を持つことで知られている。Ardbeg はその中でも特に強烈で深い個性をもったモルトであり、Ardbeg と並び立つことの出来るモルトは、ほぼ無いと言ってよい。強いて言うならば、同じアイラ島の Laphroaig。それから、Talisker くらいであろうか。

アイラはアイラでしか対抗できない、と、マスターは言う。当たり前だ。承知の上で聞いている。総じて国産ウィスキーが(少なくとも、ニッカとサントリーに関しては)、アイラ島に感じられるような強烈な個性ではなく、嫌みの無くすっきりした味わいを楽しむタイプのものだということはわかっているつもりだった。


それでも敢えて聞いてみたのは、どうしても、自分の国で、自分の好きなタイプのウィスキーが作られているかどうかを、確認したかったからだ。私は言った。Ardbeg の好きな私でも、ラムで好きなものがちゃんとある。全く同じ個性を求めたりはしていない。濃厚で味わい深いものを選んでくれれば、それでよい、と。

マスターは即答した。

それなら、秩父の8年をお出しします、と。

次回に続く)
posted by 成瀬隆範 at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 文芸・話芸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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