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2007年12月03日

Who's What A Girl? 1

何のために酒を飲むか、という問いに対しては、色々な人が色々な答え方をするだろう。酔っぱらうために飲む人もいるし、仲間との時間を作るために飲む人もいる。それがどのようなものであれ、その全てが実に真っ当な理由であり、誰もその答えを訂正するような無粋なことは出来ないはずだ。

そして私が「何故酒を飲むのか」と問われるなら、私の場合は、「人間の感性の素晴らしさを体験するために」とまずは答えることに、なるだろう。

ひとくちに「酒」といっても様々な「酒」が存在し、それは無数に分類することが出来るだろう。製造法による分類(醸造酒、蒸留酒など)、原料による分類(ブランデー、ウィスキーなど)、土地による分類(国産、スコッチ、バーボンなど)……。バーの棚を見るだけでも、その瓶の並べ方はそれぞれのバーがそれぞれ自分の店の方針に合致した並べ方をしているわけで、それはまさにこれまた無数に存在するバーの個性ともなるものである。

自分は、この世の中に「たったひとつの正しいもの」が存在する、とは思っていない。もし何かが正しいものに見えるのだとしたら、それは「その時その場にもっともふさわしい、正しい選択肢ひとつ」に過ぎないのであり、「たったひとつの正しいもの」がいつまで経っても変わらずに保ち続けられるということは、ありえない。

だから私は様々なバーを訪れる。そして、様々な個性を探し続ける。そして様々な個性、つまり、バーと酒を体験し、自分に最も相応しいものを絞り込んできたのである。

そのひとつの結果が、Ardbeg。私はわりと早い段階でこのモルトと出会い、1回で気に入ってしまった。かなり強烈で好き嫌いがはっきりと別れるモルトであるが、様々な理由で、自分には一番相応しいモルトだと思っている。


このモルトと出会ってからしばらくは、Ardbeg ばかり飲んでいた。もちろん、オフィシャルのものだけでなく、ボトラーズもかなり飲んだ。ひとつひとつ数えるのも馬鹿馬鹿しいので正確な数は覚えてはいないが、Ardbeg だけで20種以上は飲んでいるはずである。


もちろん、一番出回っているのは Ardbeg TEN なので、Ardbeg TEN を飲む機会が多い。今ではそれに慣れてしまっているが、実は一番衝撃的で、一番好きなのは、Ardbeg Very Young(6年)と、Ardbeg 17。両方とも、現在は殆ど流通しておらず、置いてあるバー自体が殆どないはずだ。特に17年は、もう2度と飲めないかもしれない、と思わせるほどに見かけない。

Ardbeg Very Young と Ardbeg 17 では、同じオフィシャルの Ardbeg とはいえ、あまりにも個性が違っている。

Ardbeg Very Young は、"Very Young" という名前の通り、荒々しく苛烈に攻めてくる。しかしそれはただ単に荒々しく粗野だというわけではなく、まるで京劇の役者が剣舞を踊るような、伝統と経験に基づいた重みが既に備わっているものである。ただ単に若いというだけではなく、これから先の将来に備わってくるはずの重みが十分に予想され、飲んでいるこちらも、高揚感と期待感に満たされて行くのである。

そして、Ardbeg 17。17 とはもちろん17年熟成のことであるから、こちらは Ardbeg Very Young の11年後に当たるわけだ。苛烈だった Ardbeg Very Young は、11年を経た後には、ローマで休日を過ごした後のアン王女のように、驚くほど静かで、しかも美しく熟成している。私にとっては Ardbeg は男性ではなく、女性であるから(これは初めて Ardbeg TEN を飲んだときから持ち続けている印象である)、そういう意味では、私の理想は Ardbeg 17 なのだ。

さて。ここからが、本題だ。

私は日本人だが、Ardbeg はスコットランドで育った。私は既に Ardbeg を愛してしまっているのだが、その違和感は、ずっと感じ続けていた。そこで私は、あるバーのバーテンダーが教えてくれた情報を元に、国産ウィスキーをメインに提供しているバーに、先日行ってきたのである。

次回へ続く
posted by 成瀬隆範 at 12:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 文芸・話芸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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