Smoke Stings Studio > 文芸作品 > Smoke Stings Studio Blog

2004年12月28日

ラップには愛情があるのだろう。では、日本語には?

 ちょっと前までは日本人の女性ミュージシャンのCDを聞きまくっていたのだが、最近は HipHop 系の音楽を聞きたくてたまらない時が多い。で、いつも HipHop を聞いていると思うことなのだが。

 日本人のラッパーたちは、黒人の文化に対して憧れ、ラップに対しては間違いなく情熱を注いでいるのだと思う。リリックを見る限りでは、韻を踏むためにかなり幅広い分野の言葉を使用して工夫をしている。これは、非常に好感が持てることだと思う。語尾に「〜さ」とつければラップになるよ、などという程度の認識だった時期もあったようだが、少なくとも、それに比べれば、遥かにマシになったとは思うのだ。

 ただし、実のところ、私はこう思うのだ。

 彼らは、ラップには愛情があるのだろう。では、日本語には?

 先日も書いたが、日本人のラッパーの多くは韻を踏むことにはかなり長けているものの、日本語のリズムや発音という視点から見ると、かなりめちゃくちゃなのだ。英語のリズムに無理矢理日本語を乗せて歌っているから、正直、聞いていてかなり不満に思ってしまう。日本語を愛し、徹頭徹尾日本語の発音を守った上で日本人の持つリズム感に乗せてラップをしてみたら、どうなるのだろう。

 多くの日本人ミュージシャンは英語の歌を歌うときに、無意識のうちに日本語のリズムに乗せて英語を歌ってしまっている。歌唱力を持っている人がそのような状態だと、特にその発音とリズムのいい加減さが目立ってしまい、期待感が大きい分だけ不満も大きくなってしまう。私は、日本人のラッパーたちに、その状態と全く逆の不満を感じる。

 黒人文化に対する愛情が深い分だけ、日本語のリズムと発音を軽視する態度が見えてきてしまう。私は、日本語を心の底から愛することのできるラッパーを見たくてたまらない。文字は表音文字(例:アルファベット。発音だけを表す文字)と表意文字(例:漢字。文字ひとつひとつに意味がある)があるが、その両方を同時に使いこなしている言語を、私は日本語以外に知らない。私は日本語を、「凄い言語」だと思っている。

 もっとも、私も実は、あまり偉そうなことはいえない。私は職業として英語を教えているが、それは英語を愛しているからではない。そこに気づいている生徒もいることだろう。私が英語を学ぶのは、英語の感覚を自分の思考法に取り入れることで、考えを深めることができるからだ。その意味では、私は本来英語教師にはふさわしくないのかもしれない。もっとも、私の存在意義は、「たとえ英語が心の底から好きではなかったとしても、英語に面白みを見いだせれば英語力は上がる」ことを身をもって証明しているところにあると、個人的には思っている。
posted by 成瀬隆範 at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/1415147
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
RSS feed meter for http://smokestings.seesaa.net/styles-63486.css
63888このブログのトップ
9Seesaaブログ

 

since 2004.10 : copyright 2008 (c) all rights reserved : Naruse Takanori @ Ace Art Academy エースアートアカデミー